日々考えたり

プログラミング学習記録、読んだ本の感想など

読書「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」

マイクロソフトWindows 95の生みの親、中島聡さんの著書を読んだ。

ソフトウェアエンジニアの端くれとして、感動する場面がたくさんあったのだけれども、特に心に残った点を書き留めたいと思う。

 

 

「未完成でいいからまずはプロトタイプを」


時間をかけて完璧なものを作ることを目指すより、未完成でいいからプロトタイプをまず作れ、と言われている。
今でも根強いウォータフォール開発の最中に、ソフトウェアとしてプロトタイプ開発指向、ひいてはアジャイルな開発スタイルを取られているのがとても先進的だと思い驚いた。


基本的に、開発者はまだ未完成なプログラムをリリースしたくない。
時間が経つにつれ、大きな問題に気付いたり、仕様変更のために大幅修正したくなるかもしれないから、しばらく温めておくのが面倒が少なくていいのではないかと考える。


そこをあえて、とりあえずソフトウェアリリースを一旦行い、市場からのフィードバックを待つ、というのが潔ぎよいと思う。それは、ユーザーが本当に欲しいソフトウェアを作るには必要なマインドで、そういった環境に身を置いてこそ、厳しいフィードバックを受けるために、更なるレベルアップも早いのだと思う。

 

もちろんプロトタイプを出すには、最低限の機能をなるべく正確に盛り込む必要がある。肝心のフィードバックが欲しいポイントが作り込めてないと、誰に見せても役に立つフィードバックはもらえないことになってしまうから。

 


ロケットスタートするメリット」


ロケットスタート、すなわち決められた開発時間の最初に全力を注ぐ、というやり方。こうすることで、締め切りを守れる、と言うのはもちろんあるけれども、それ以上に毎回100%の力を出す習慣をつける、というのは案外大事だと思う。

 

人は普段70%、80%くらいの力しか出していないと、結局100%以上の力は出せなくなるからだと聞いたことがある。人間は慣れる生き物なので、常に100%を出すようにしておけば、徐々にそれ以上の力が出せるようになる。これで更なる成長につながる。

 


「好きなことをやることが幸せにつながる」


実際は色んな人が言っていることだけれども、中島さんのような方がこの言葉を言うと、とても説得力がある。ただこれまでは、他の人の幸せにも繋がるのだろうか、ただのわがままじゃないか?とも内心は思っていた。


ここで気づいたのは、中島さんのMicrosoftのチームは、

「なんとしてでも最高の製品を世に生み出す」

という志を持った人の集まりであったことだ。そこで中島さんがこれまでの中で最高に楽しく充実した仕事ができていた。

 

全員がその方向で一致していました。思いは一つだったのです


これはすなわち、周りも中島さんと同じくらい幸せな状態にあるということになる。なぜかというと、同じチームのみんなが、幸せだと感じる状態=幸せの価値観が同じだったからだということに他ならない。
自分の好きな仕事をしていれば、同じ幸せの価値観が似通う人が、同じ職場に集まるようになる。この状態では、自分が好きなことをしているだけで周りを助けることにも繋がり、お互いが幸せということになる。
私たちはこんな職場をいったいどれだけ作れているだろうか。仕事が嫌だな、会社に行きたくないな、あの職場の人と合わないななどと思いながら仕事をしていないだろうか。そんな思いを続けていたら、自分も、その一緒に働く仲間も不幸にする結果になるに違いない。

 

 

 

 

ここで著者の中島さんにお礼を言いたいです。

昔、自分がアルバイトをして初めて買ったPCのOSがWindows95です。Windows 95のおかげでPCがより庶民の身近になったということは後から知りました。なので自分の初めてのOSがWindows95というのは別に不思議なことでもなんでもないのは分かっています。

でもあの時買ったWindows95がなかったら、PCの世界が遠すぎて、私が今こうしてソフトウェアの仕事に就くことは出来なかったのではないかと思っています。

ソフトウェアの仕事に就いてから、朝仕事に行きたくないと思うようなことはなくなりました。本当に好きな仕事に就くのは大事だと、Windows 95に出会ったときからの自分の経験で教わったように思います。

 

 

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